新アルバム『Summer Mixtape』にて自由を謳歌するザ・ドライヴァー・エラ
- Miyuki Wang
- Sep 23, 2022
- 21 min read
A Japanese Translation of The Driver Era Interview
(by PAPER, 2022/09/21)

Jade Gomez "The Driver Era Embrace Their Freedom on 'Summer Mixtape'." Sep. 21 2022, PAPER. Photography by Devin Kasparian.
Last night in Tokyo, I saw the Lynch brothers on stage for the first time in 6 years – not as R5 which was my favourite band in the world until they broke up in 2018 but as The Driver Era, a new project by the two of the former R5 members, Ross and Rocky Lynch – and frankly speaking, it left me in pieces. Not to be dramatic but it was a hell of a ride on an emotional roller coaster seeing people I know very well from a band I know very well playing different songs as another band. It's complicated.
To give a brief explanation, I was pretty shocked and saddened by the way they disbanded 4 years ago and I avoided them and their new project altogether since I couldn't figure out how to move on. I'm aware that I sound super depressive and sad but I actually ain't – I eventually moved on and as many of you know, I enjoy many other kinds of bands and music now and I'm overall having a massive great time. It's just I couldn't really see how I could move on from R5 to The Driver Era. And seeing them once again after a long while made me feel a lot and think a lot.
While I want to write a review for their gig in Tokyo, I'm not quite sure yet how I can properly put what I felt into words. Also, I realised I actually don't know much about what they're on about as a band these days. So I searched for interviews, read a very good (and very recent) piece by PAPER, and I got an urge to translate it into Japanese. So, I did. Well, this is the end for all you English-speaking lot but the gig review will be out whenever I'm mentally prepared so stay tuned.
Read the original interview here
昨夜、東京にてステージに立つリンチ兄弟を6年ぶりに見たこと――それも、2018年に解散するまで私が世界で一番好きだったバンドR5としてではなく、元メンバーのロスとロッキーによる新プロジェクトであるThe Driver Eraとしての彼らを見たこと――は、率直に言って私の心を粉々にした。大げさな言いぐさだが、よく知っていたバンドのよく知った人たちが違うバンドとして違う曲を演奏するのを見るのはおかしな感じで、1時間半の間にあらゆる感情を経験した。複雑な話なのだ。手短に話せば、4年前にR5が解散するに至った流れとその後の流れは私にとってひどくショッキングで悲しいもので、どんな気持ちでいればいいのかわからなかった私は彼らと新しいプロジェクトを一概に避けるようになった。こんな話をすれば鬱々と悲しい人間だと思われそうだが、実を言えばそんなことはない――これを読んでいる恐らく多くの人が知っているように、私は今では他にも様々なバンドの様々な音楽を楽しんでいるし、概してとても良い時間を過ごしている。R5からThe Driver Eraへとスムーズに心の居場所を変えることができなかっただけだ。だからこそ、長い時を経て彼らを再び見たことは私に様々な感情を抱かせ、様々なことを考えさせた。
東京でのライブのレビューを書きたいと思う一方で、どんな風に書けばライブ中に思ったことを上手く言葉にできるか今の時点で確証がない。また、そもそもバンドとしてThe Driver Eraが最近何をしているのかさえよく知らないことに気が付いた。だからインタビューを検索したらとても良い記事があり、日本語に訳したいという衝動を突然感じたため訳してみた。新アルバム『Summer Mixtape』の製作プロセスからよく聴く音楽の話や、ツアーやネット上でのバズり、これからの予定・目標などバンドとして2人が考えていることに幅広く触れた面白い記事なので、私がライブレビューを書く精神的な準備ができるまでの間にぜひ読んでみてください。
元記事はこちらから
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ロス・リンチとロッキー・リンチの2人を新たに紹介し直す必要がないことは本人たちも分かっている。他の2人の兄弟と共に組んでいたポップ・ロックバンドのR5が2018年に解散した後、ロスとロッキーの2人はザ・ドライヴァー・エラという新たな挑戦に思い切って進んでいった。
多くの人々がこの新しいプロジェクトに疑問さえ抱かずにすぐさま飛びついていったのは奇跡のようなことだった。
エネルギッシュなデビュー・シングル “Preacher Man” は完璧なポップソングを生み出す2人の爆発的なキャリアを方向付け、2枚目のアルバム『Girlfriend』がリリースされた2021年までにはその音楽性も彼らのキャリアを形作っていた。
ドライヴァー・エラに特徴的な、気持ちを煽り上げるようなファルセットとスタイリッシュなR&Bのテイストは世代を超えて愛される兄弟の過去、現在、そして未来と通じている。彼らだけでなく、彼らのファンも成長した――そうならそうと楽しまない理由はない。
スポットライトの下に立つことはリンチ兄弟にとって常になじみ深いことであった。彼らそれぞれが履歴書を作れば、それらはディズニーやFOXなどのビッグネームや数えきれないほどのツアー、映画やその他諸々で埋め尽くされる。
その一方で、お茶の間的存在だった彼らの過去の印象をもっと大人らしくなった現在のドライヴァー・エラから切り離すことをいまだに難しく感じる人は少なくない。
ドライヴァー・エラはネット上で何度も大きな話題を呼んできた。そのきっかけには、あらゆるティーン雑誌から引っ張りだこだった過去を経てジェフリー・ダーマーを演じた経験も持つロスが多くの人々にもたらすノスタルジックな感情から、彼のステージ上でのセクシーなパフォーマンスまであらゆることが含まれる。
予想外の形で注目の的になることや、厳しい日程でツアーを行うことは緊迫した雰囲気を生みやすい。しかし、そんな中でロスとロッキーは直近のリリースであるアルバム『Summer Mixtape』の製作にいそしんでいた。
『Summer Mixtape』では、2人そろって気に入っているヒップホップ調のサウンドにハウス・ミュージックからの影響を受けたビートとエレクトロニック系の実験的なサウンドが融合し、驚くほど夢見心地な気分にさせるロスの歌声が音の響き一つ一つに降りかかる。ドライヴァー・エラが音楽を通じて表現しようとするのは、親密さや誰かに焦がれる気持ちが表に出てくる特別な瞬間だ。このテーマは、ドライヴァー・エラが4年前に “Preacher Man” リリースと共に生み出したものであり、バンドの核として今まで維持してきたものである。
『Summer Mixtape』のリリースを記念して、PAPERはこの新しいチャプターがバンドにとってどんな意味を持つのかドライヴァー・エラの2人に話を聞いた。米・ニューヨークのPier 17にて今夏行われたショーの前に撮影された写真と共に、インタビューをお届けする。
――誰の目から見ても明らかな話から始めましょう。あなた達2人は、ツアーの真っただ中に新しいアルバムをリリースしましたね。
ロス「良いタイミングではなかったよね」
ロッキー「普段は順番が逆だからね」
ロス「何があったか簡単に説明すると、バンドのマネージャーがツアーのブッキングをした後、ツアーでプレイするために新しい音楽をリリースできる方法をどうにかこうにか見つけたんだよ」
ロッキー「実を言えばその話も微妙なところで、当時は僕達がプロジェクトを持っていて、それがアルバムになったんだけどそのリリースをずっと先送りにしていた部分があるから」
――では、新アルバムに収録されている曲は長い間温め続けてきたものだったのですか?
ロッキー「1年前くらいから作り始めていた曲もいくつかあるけど、ツアーに出かける1週間・2週間前から作り始めたような曲もいくつかあるよ」
ロス「僕達は音楽を息のように吸いながら音楽の中に生きるような生活を送っているから、数年前にアイディアを得たような曲もあるといってもいいかもしれない。例えば “I got you, you got me” は1分半しかない、アルバムの中で一番短い曲なんだけど、これとかは多分2、3年前に作られたような曲だよ。セッション中に曲と曲の間を行き来しているうちに (“I got you, you got me”) のトラックを見つけて、それにひらめいたからなんとなくそこにラップをフリースタイルで入れてみたんだ。それが完成形になったんだよ!
その一方で、たしかツアーが始まる一週間前くらいに出来上がった “Back To You” みたいな曲もある。これはすごくすごく早いスピードですごく最近に、色々なもののを寄せ集めてできた曲なんだ。
正直なところ、これらのことがこのミックステープのマジックというか、素な感じを生んだんだと思う。全てがラフで、今にも崩れ出しそうな感じ。『なんでもめちゃめちゃにやってやろう』っていうのがこのミックステープのメンタリティで。何も完璧ではないし、未加工で素な表現が多いし、完成されていないのが特徴だよ」
――アルバムのタイトルには興味をそそられます。2つの間の境界線があいまいになってきているとはいえ、「ミックステープ」という言葉は「アルバム」とは一線を画すような響きを今も持つでしょう?2人は『Summer Mixtape』のことをミックステープとして捉えていますか?それとも、アルバムとして?または、どちらの要素も兼ね備えたものとして?
ロス「僕はこれはミックステープだと思うな。自分達のミキシングを採用することにした最初の作品だから、自分達にとっての新しいチャプターを開いたようなところがあって気に入っているんだ。
それだけじゃなくて、このアルバムの流れとかリズムに加えて、一曲一曲がそれぞれ個別に成り立っているところはミックステープというものが伝統的に持っている要素だと思う。
だからこそ、このアルバムは自分達の夏のミックステープだといえるものだと思うし、自分でも『Summer Mixtape』のことはそう解釈しているんだ。収録されている曲は自分達自身が聴きながら育てて一緒に生活してきたものだし、アルバムを通じて自分達の夏のミックステープを皆に届けているような感じだよ」
――あなた達は、曲を作り終えた後に自分でも聴くタイプ?それとも、その曲をステージで演奏する時が来るまで一切聴かないタイプですか?
ロス「僕達は逆だな。リリースする前にこれでもかというくらいの回数聴いて、リリースした後はその曲自体が存在しなかったようになる」
ロッキー「僕は丘の間を運転しながら、1曲それだけを何度も何度もリピートしている自分に気づくことがあるな。例えば何か1曲をずっと聴いてるとして、それについて何にも考えていないのはおかしな話だよね。
でも数か月前にある曲を毎日何週間もノンストップで車の中で聴いていたことがあって、そうしたらいきなり『ちょっとまった、これはアツい!』と思ったことがあったよ。
(こういうことがあるから)ちょうど製作過程にあって、ロスといじっている曲を3から4曲くらい流しながら2人でドライブに行くこともあるんだ。そういう時を含めて、自分達の曲をすごくよく聴いていることが僕達にはあるよ」
――新アルバムでダンス・ミュージックに飛び込んだ様子や、ハウス・ミュージックの影響を受けたサウンドを聴けたのは嬉しいサプライズでした。ドレイクやビヨンセを筆頭に、似たようなサウンドを最近はあらゆる場所で聴くようになったように感じるのでなおさら。『Summer Mixtape』製作時にはどんな音楽を聴いていましたか?
ロス「ハウス・ミュージックをたくさん。本当に取りつかれたように、車の中で毎日、ずーっと(ハウス・ミュージックを口ずさみながら)。
うん。正直なところ、ハウス・ミュージックがどこででも流れているような状況になるより前からよく聴いていたんじゃないかな。そして、気づいた時にはドレイクやビヨンセをはじめとして誰もがハウス・ミュージックをやっていた。ほんの少しの間、僕達はこのブームを先取りしていたよ。少なくとも自分ではそう思った。もしかしたら、そのまま自分達の音楽を早めにリリースすることもできたのかもしれない、もしかしたらね。でもそんなこと誰が気にするっていうんだ?僕は心底気にならない。良い曲っていうのはリリースのタイミングとか色々なことに関わらず良い曲なんだと思うから。その曲を聴きたいと思えば、聴くんだよ。一時、人々はトラップはもう死ぬんだと思った。でもそんなことはなくて、まだまだ盛り上がり続けているよね」
――トラップと言えば、あなた達がラップのファンであることは作品にも確実に表れていますよね。ラッパーのmike.とつるんだりもしていませんでしたっけ?
ロッキー「僕らの弟が一時期mike.とよく遊んでたんだよ。そのつながりで僕らも彼のハウス・パーティに何度か行って、ビアポン(ゲーム)をして遊んだりしたな。で、彼は…」
ロス「僕はmike.のこと好きかな。いい奴なんだよ」
ロッキー「うん、お前は『よう、兄弟。あんたってのはフレンドリーな奴だよね』みたいな感じだったね」
ロス「mike.はプロとして野球をやっていたこともあるんじゃなかったっけ?」
ロッキー「たしかそうだったと思うよ。でも、自分達に最も影響を与えているのは…」
ロス「(ラッパーの)シェック・ウェス!」
ロッキー「…(笑いながら)プロデューサーなことが多いように感じる。僕達はプロデューサーでもあるアーティスト達の音楽を楽しんでいることが多いと思う。だから、僕達はカニエとかファレル(・ウィリアムス)、カルヴィン・ハリスとかをいつも聴いているよ。
僕は昨日の夜ミュージック・ビデオを撮っている最中にバスの中でエミネムの曲を聴いていたよ。長い間聴いてなかった曲なんだけど。 “Shake That”っていうんだ」
(2人そろって “Shake That” をラップする)
ロッキー「この曲を聴いていて面白かったのは、一曲の中に3つのメロディがあることなんだ。少し長い曲なんだけど、(3つの)メロディは自分にとってはポップスのメロディなんだ!それに合わせてラップをしているのはギャングスタな歌手なんだけど…」
ロス「そのパートを歌ってるのは誰?」
ロッキー「Nate Dogg(R&B歌手)だったと思う。 “I've been to the motherfuckin' mountaintop!”てね。僕達はエミネムやドクター・ドレーを聴きながら育ったよ」
――ツアーはドライヴァー・の成功の大きな部分を担っていて、前回お会いした時にはもうパフォーマンスの回数が400回を超えていると話していましたね。今では何回目になっていますか?
ロス「それはR5とドライヴァー・エラを合わせた回数だね。ドライヴァー・エラとしては今年70回目を迎えるから、合計でももう500回に近づいているんじゃないかな」
ロッキー「しかもそれは…まああんまり重要なことではないけど…ロスが幼いころちっちゃなミュージカルでステージに立った時のこととかは含めてないからね。あれだってショーだよね!ワオ、ああいうのをパフォーマンスとして考えたことは今までなかったな。こう考えると、僕らがステージの上で過ごしてきた時間の長さはクレイジーだね」
ロス「うん、本当にその通りだよ」
――厳しい日程で行うツアーに、創作のプロセスをどう組み込んでいるんですか?
ロッキー「このツアーの中では、例えば昨夜も一日中ミュージック・ビデオを撮影した後にロスとギャリソン(バンドのキーボードプレイヤー)と一緒にツアーバスに乗り込んで、曲に一緒に取り掛かったりとか。それ以前にも、ミュージック・ビデオを撮影している間にまた違う曲に取り組んでいて、どうしたらその曲を最高なものにできるかを考えていたよ。
ほとんどの曲は、ツアーの時試しにライブでやってみようって段階にまで行っている場合にはもう完成していることが多いんだ。だから、その後試してみることも実際にはそんなになくて。でも、さっき話したみたいにずっと僕達の頭の中にある曲が一つあって、それは友達とかの前で試している途中なんだよ。ライブでもやってみなきゃいけないよね」
ロス「その曲のためのミュージック・ビデオももう撮ったんだけど、曲自体はまだ未完成なんだ。これからどうするのか全く分からないな」
ロッキー「他にも、他の人たちとあまりにもたくさん曲を書いていた時が一時期あって、徐々に『どっかに行ってくれ』と思うようになったことがあったな。(それを経て)ソングライティングを自分達だけでやるようにもなった。でもそれが最近は少しずつまたオープンになってきているように思う。
昔は誰かに向かって曲を試しに演奏して見せても『あんたがどう思うかなんて知りたくない。だってそんなのどうして気にしなきゃいけないんだよ?』って思うことが多くて。気分を下げるようなこと言わないでくれよ、知りたくなんかないよ!ってね。
でも最近は、その頃よりもオープンな曲作りのプロセスになっているし、他の人の意見を聞いても『あ、そうなんだ。そういう風に感じるんだね』って受け止めて、その意見をオプションとして持ちつつ、自分がこれだと思うものから脱線させるほどの力は持たせないことができるようになった。
前まではもっと頑固で厳しい感じでいるのが好きだったんだ。でも最近みたいに少しオープンでいると、結局曲の出来も少し良くなるんだ。自分が気にかけている人々にちょっと聴いてもらったりするのを経ているからね。
聴いてもらうのはミュージシャンだったり、友達だったり、マネージャーだったりする。他にはラジオの人なこともあるし、様々だね。こうしてツアーの最中に自分達が取り組んでいる最中のものを他の人にもオープンにしていけているのは良いことだよ」
――『Summer Mixtape』が、あなた達2人がはじめて曲作りのプロセスをオープンなものにして、他の人の意見も取り入れようとしながら作った作品だと言えますか?
ロッキー「この新しいやり方を始めるきっかけになったのが『Summer Mixtape』だったんだと思う。最初は僕達2人に絞って作っていた中で、良い感じになってきた後に色々なところに製作中の曲を徐々に送り始めた。それによって、自分達の作っている曲が他の人たちにも何らかの理由で響くものなんだってわかったんだよ」
ロス「でも僕達にとって一番身近な人たちは『Summer Mixtape』の曲は変な感じだと言ってノれないみたいだったよね。文字通り、僕達のチームのうちほとんどの人が」
――方向性を捉えられなかったということ?
ロス「なんだかおかしな曲だと皆思ったんだよ。特に僕達の家族が『いやーわかんないな』って感じだった」
ロッキー「もしかしたら、逆にそれは良いことだったのかも。ちょっと面白いよね!僕達が今までとは違う新しい何かに取り組んでいたっていうことでもあるわけだし」
ロス「さっきロッキーが言ったことが当てはまるよね。誰の意見が重要かが分かっていくんだよ。何が大事か見分けることができるようになるのは重要なんだ。音楽的な意見に関して言えば、意見の出元がポップ・カントリーミュージックを聴く層なら、自分達がやろうとしていることと彼らの趣味は離れているわけだから『そっか、ノリが違うってわけだね』って思えるよね。そして、別にそれはそれで構わない」
ロッキー「僕はジャスティン・ティンバーレイクの “Sexyback” が収録されているアルバム(『FutureSex/LoveSounds』)が大好きなんだよ。こういうストーリーは他にもたくさんあるとは思うんだけど、ジャスティンのチームとレーベルは皆『こんなの世に出しちゃダメだ』って言っていたらしくて。このアルバムが彼のキャリアで最も素晴らしいかって?そうなんじゃないかな。
ロス「えーわかんないな。そのアルバムって、 “Senorita” が入ってるやつ?『Justified』だっけ?」
ロッキー「それはザ・ネプチューンズがプロデュースしたやつ!まあ『Justified』もジャスティンの立ち位置を示したアルバムではあるんだけど。『FutureSex/LoveSounds』を聴いたら全曲好きになるかもね」
――ジャスティンがそのアルバムからの曲をいくつか歌うのをファレル(・ウィリアムス)のフェスティバル Something In The Waterで見たことがあります。
ロッキー「僕達をラインナップに入れるべきだってファレルに言ってくれない?もし今度ファレルに会ったらさ。僕達のことを伝えておいてよ」
ロス「僕達行くからさ」
――あなた達のように献身的なファンベースを持っていると、オンラインで大きな話題になることもありますよね。最も直近では、TikTok上であなた達のパフォーマンスの様子が多くの注目を集めました。そんな風に人々の目にさらされれば、非現実さや居心地の悪さを感じるのではないかと思うのですが。
ロッキー「これにはどう答えたらいいかさっぱり分からないよ。オンライン上での『バズり』は自分にとってクレイジーなことに感じるよ。あれだけの規模で注目の的になると、本当に誰もがそのコンテンツを見ていることが明らかになるんだよ。僕達が会ったことのある人や、話したことのある人誰もが同じ経験を持つみたいでさ。15秒の動画だったとして、誰もがスマホをスクロールしながら何時間も過ごすわけだから。すごい規模で注目を浴びる盛り上がり方をすると、誰もが同じ動画を見ているみたいな状況になる。それよりも小さい規模だったら、見ているのはもう自分達のことを気に入って既にフォローしてくれている人たちだからね。ネットでバズると1つのコンテンツが毎日あらゆる人に届いて、それが気に入られる。そんなのとんでもなくクレイジーなことだよ」
ロス「TikTokで有名になってから、毎日誰もが真っ先にその話をしてくるよ。日常的にね。大したことではないけど、毎日誰かしらが一度はこの話を持ち出してくるんだ。僕はそれについては複雑な気持ちを持っているよ」
――リーチが自分のコアなファン層を超えて特大な規模でバズると、人々があなたを見る見方をコントロールできなくなることを恐ろしく感じることはありますか?
ロス「うん、でも自分のキャリア全体を通じてずっとそうだったからね。自分が他の人からどう見られるかをコントロールできないのなんて、長い間経験してきたことだよ。何も新しいことではないんだ。
俳優として撮影現場で働いている時でさえ、周りのクルーたちが自分のことをロスではなく、演じている役のハーヴェイ・キンクルやジェフェリー・ダーマーとして見るようになることがある。一緒に映画を作っているんだからそんなことあるわけないと思うけど、ゆっくりと確実に彼らは自分が演じているキャラクターとして自分を見るようになり、さらにそれに応じて自分の扱われ方も変わっていくんだ。そういう経験は長い間してきたよ。だから自分にとっては新しいことでは全くない。
まあ、こういうのは自分が評価されているからこそ経験できるものだっていう面もあるんだけど。『あ、ありがとう。これって素敵だね。みんなが楽しんでくれて嬉しいよ。それってクールだよね』みたいなね。
自分ではこのツアーを売り切るっていう目標を今年は持っていたんだ」
ロッキー「バズるのが目標だったの?」
ロス「違うよ、僕はこのツアーを売り切りたくて、僕らはそれを達成できた。この世っていうのは不思議なものでさ。僕はソールドアウト・ツアーだけを求めていたんだけど、TikTokで有名になったことはそれに役に立ったんだろうから文句は言えないよね。ほしいものが手に入ったわけだからさ」
――あなた達はドライヴァー・エラをどのように位置づけていますか?あなた達の子ども時代、そしてもう長くなったミュージシャンとしてのキャリアの延長線上として?それとも、自分達を再び一から紹介するためのものとして?
ロス「いや、自分のことを新しく紹介し直す必要は感じていないよ。新たな自分としての再導入が必要だっていう考え自体が…」
ロッキー「新しい自分になることを阻む?」
ロス「そして、解放された、自由な己であることをね。いつだって聞かれるんだ。『どうやってディズニーの殻を打ち破ったの?それはどんな経験だった?』ってね。で、正直に言えば…」
――それは自然に起こったことで、意識して変化を目指したわけではない、と?
ロス「自分のキャリアの全てのステップを楽しんできたし、感謝している。あらゆることに学びがあったから。アーティストとして、クリエイティブな仕事をする者として今までで最も良い状態にあるように感じている。そうした状態から何が生まれるか楽しみにしているんだ。誰か一人が自分に持っているイメージにこだわったりはしていないよ」

――自分のねらいを分かってもらえるだろう、そして足りないところは補ってくれるだろうという信頼を自分のファンに置けるのはとても特別なことだと思います。
ロス「自分達には世界で最高のファン達がついてるんだ。たくさんの人が同じことを言うって知ってるけど、僕達は本当にそうなんだよ。皆僕達のことを既に10年間知っていて、それでもまだ会いに来てくれる。君の言う通りだよ。僕達のファンのほとんどが僕達のことを何でも知っていて、それでいて好きでいてくれる。皆それですごく楽しんでいるし、ステージ上の僕達のことも楽しませてくれる。毎晩がパーティみたいなものだよ。それって本当に特別なことだね」
――合計500回にも及ぶパフォーマンスは、あなた達をたくさんの場所に連れて行ってきたことでしょう。このツアーで初めて訪れる場所はありますか?
ロス「厳密にいえばこのツアーはドライヴァー・エラとしては初めてのワールドツアーなんだよ。僕達それぞれにとっては5度目かなあ」
――では、もうどこにでも行ったことがあると言えますね。
ロッキー「それでも全てが初めてのことのように感じるだろうと思う。ヨーロッパやその他の場所をツアーするたびに年をとるような気がするし、今回もそうして受け止めていきたい。これが最初で最後のことような気持ちでツアーには臨むつもりだよ」
――あなた達はツアーを売り切り、世界中を旅するなど想像できる限り全てのことをしてきました。次のステップは何だと考えていますか?最終的な目標は何ですか?
ロス「最近その質問について考えてきたんだけど、僕の持っている目標の大半は短期的なものなんだ。まだたくさんツアー日程が残っているし、長期的なことについて今は全然考えていない。このツアーが終わったらもしかしたら少しの間姿を消してみようかなと思っているんだ。個人的には少しだけ姿を消して、自分が求めているものについて考え直したいから、今はまだ分からないな。ロッキーは何か考えてる?」
ロッキー「確かなのは、自分もすごく先のことは考えていないことだね。とはいえ、やっておけばよかったと後から思うことは多いから、もっとよく考えるべきなんだと思うけど。でも、現実的に話せばまずは最後までショーなりなんなりをやり切った後、絶対に家でバケーションを過ごすよ。そうしたら最高だな。そうなると、今度はどんなサウンドをスタジオで作り出せるかな?と考えないでいるのは不可能なんだ。
だから音楽のことはいつも考えてるんだけど、ヨーロッパや日本、オーストラリアに行って帰ってきてから、というかそもそもツアーに行く前から、音楽から離れて休憩することってあるのかな?と考えている部分もある。こういうことを声に出して話し合ったりはしないんだけど『もしかしたらこれが本当に最後のツアーになるかもしれないから、全部を満喫しようぜ』とか冗談言ったりしたな。ここまでくると、来年をどんな年にするかっていう選択肢はかなり幅広く存在するよね」
――以前あなたは、自分は物事を逆算的に考えて動くと話していましたが、確かにそれがうまくいっているみたいですね。
ロッキー「うん、今のところはうまくいってるよ。まだダメになっていないこの考え方を変えようとして思い悩む必要はない、ってね」
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